前回はなんとか耐火建築物にせずにビルトインガレージを成立させる方法を考えたけど、失敗した話を書きました。
今回は何故ハウスメーカーに頼むことを辞めたのかを書きます。
大手企業で設計をやらせてもらっているので、大手ならではの内情も踏まえて書きます。
私たちは12社ものハウスメーカーを回りましたが、どうもハウスメーカーの売り方が好きではありませんでした。
まず営業マンが嫌いです。
家電量販店の販売員のようなどれを選んでも自社の利益になるものと違い、家や車は製造会社もしくは系列店が売っていますので自社商品にとって都合の良いことしか言いません。
要するに嘘つきです。
嘘は言ってないからセーフではありません。知っていて隠す、根拠がないのに効果を謳う、誇張するは隠ぺい、捏造で同じことです。
標準設備をアピールするのも嫌いです。
この窓は樹脂サッシのトリプルガラスで断熱性能に優れていますとか、このトイレは節水で掃除も楽ですとかです。
それはアンタの会社の商品じゃないでしょ?要は金出せば誰でも買えるものです。
自社の商品に魅力がないからと他人の褌で相撲を取ってるみたいで嫌いです。
一番嫌なのが、打ち合わせは営業と行って設計者とは話せないことです。
私の前職は自社工場で使う設備の設計でした。
営業部署があり自社の担当者と話して仕様を決めて設計に伝えることが仕事でしたが、実際は設計者が顧客と話して仕様を決め、概算見積りまでをしていました。
それは何故か?
効率が良いからです。
営業は技術的なことは分かりません。どうしても仕様のやり直しがでますし、顧客がせんとすることを設計者が適切に把握できれば代替案も出せます。
では何故営業がいるのか?
設計者の人数は多くありませんし、育てるのに時間も金もかかるからです。
それに担当する設計者で差が出てしまうのです。前の会社でも差は出ていました。
極端な例だと設計者が違えば2000万円の設備が1800万円になりますし、急な仕様変更時の納期延長の期間など大きく変わります。
前の会社は自社の人間が顧客なので効率重視でやっていました。
じゃあどうするのか?
大手の考えることは皆一緒です。
営業が何人もの担当を持ち、設計者は社内標準に従ってシステマチックに作業することで、傑作は生まれないけど駄作も生まれなくするんです。
常に平均点がとれると言えば聞こえは良いですが、ただ低いレベルに合わせるだけなので実は平均点以下です。
システマチックと言っても所詮は人間のすること、伝達ミスや勘違い、聞き間違いなどミスは発生するのです。
だいたいそのシステムが正しく運用されているって誰が言えますか?
昨今、大手の自動車メーカーや素材メーカーの捏造が発覚しています。
工場見学も複数しましたけど、ハウスメーカーのラインは自動車メーカーのそれより確実に時代遅れだと感じました。
私も大手製造業を複数経験したので言わせてもらいますが意識の低い方はどこにも一定数いますし、それを止めるシステムはまだまだですよ?
伝言ゲームでは良いものは作れません。
今はBtoCの完成品メーカーですが市場調査や顧客への聞きとり調査は設計者が行っています。
営業は販路の拡大と市場の傾向の調査、販売会社との折衝が仕事です。
そもそもハウスメーカーが競い合ってる躯体が鉄骨か木材かとか、断熱材がグラスウールかネオマフォームかとか、基礎がベタか布かなんて我々ユーザーに関係ありますか?
住みやすい家が安価で手に入り、家族が健康で安全に日々を過ごせれば良いんじゃないですかね?
設計者が必要だと判断すれば採用するし、いらないと判断すれば無くす。
なにも分からない素人がなにも分からない素人営業マンの口車に乗せられて基礎の鉄筋の多さや断熱材の厚みに一喜一憂するって少し異常だと思います。
皆さんは自動車のインテークマニホールドの材料が樹脂なのかアルミなのか気にしたことがありますか?
彼らがやっていることはそういうことです。
自社の営業マンがそんなことを売りにしていたら設計者としてとても悲しくなります。
ここまで駄文に付き合って頂きありがとうございました。