ゆとり技術者と建築家で建てる都市型住宅

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外壁の後退距離について

今日は都市部での外壁の後退距離について書きます。

私自身とても混乱させられました。

後退距離というのは下のイラストの赤い矢印の距離のことです。 

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よく見かけるのは民法234条により敷地境界線より50cm以上外壁を後退させなければならないというものです。ここでの外壁は壁芯ではなく仕上げ面のことです。

しかし民法236条には地域の慣習があるときは、その慣習に従うと書かれています。

さらに建築基準法の65条には防火地域又は準防火地域内にある建築物で、外壁が耐火構造のものについては、その外壁を隣地境界線に接して設けることができると書かれています。

この3つ法律の強さの順番は

建築基準法65条>民法236条>民法234条

になります。

 

私の家は防火地域で外壁が耐火構造ですので、建築基準法65条により境界線いっぱいまで家を建てられることになります。そもそも、私の地域では境界いっぱいに建つ家も少なくありませんので民法236条により民法234条の50cm以上は守らなくても良いです。

 

ここで疑問に思ったのが敷地境界線いっぱいまで家を建てて、壁のメンテナンスはどうなるんだということ。壁のメンテナンスは足場を組んで行います。一般的な足場だと50~60cmぐらいの幅で組めるそうです。費用は嵩むものの単管足場だと40cmでも組めなくはないそうですし、お隣さんの土地を借りることもよくあるそうです。

 

しかし、私のお隣さんは既に敷地境界線いっぱいまで家を建ててしまっています。ここに私が敷地境界線いっぱいまで建てると隙間は0になります。

さすがに0は音や振動がもろに伝わるので隙間を設けますが、私の敷地もそう大きくないので、人が横向きでギリギリ通れる30cm程度で抑えたいです。新築時は内部から外壁を仕上げる工法があるので施工は可能なのですが、30cmの隙間だと足場は組めませんし、作業するには厳しい幅です。

 

この場合どうするのか建築士さんに聞いてみると、

コーキングの打替えや再塗装等のメンテナンスはできないからしない。そもそも隙間が僅かしかなければ、日光も雨風もほとんど入ってこれないから、劣化はほとんどしないし気にしなくてよい。気になるんだったら少しでも高耐久の外壁とシーリング材を選択することぐらいしかできない。

と言われました。

ごもっともな意見です。タイルは内側からの施工はできないので、私は窯業系サイディングで高耐久なものを選択することにします。ガルバリウム鋼板はデザイナー住宅でもよく見ますが、見た目が私の好みではありませんし、そもそも耐火建築物に使える物があるのか微妙でした。

 

最近のサイディングは塗膜の変色・褪色30年保証を謳っていたりと高耐久を売りにしていますが、シーリングは先に劣化します。しかしニチハさんのFu-geや旭トステムさんのガーディナルはシーリングレスで施工できる(一部シーリングを使用)ので可能であれば採用したいと思います。

 

 

ここまで駄文に付き合って頂きありがとうございました。 

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