ゆとり技術者と建築家で建てる都市型住宅

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議事録について その1

みなさんは打ち合わせのときに議事録は書いていますか?

書いている。相手が書いているから自分では書いていない。そもそも書き方が分からない。色々な方がおられると思います。今回は私の議事録についての考え方を書こうと思います。大事なことなので長くなりますがご了承願います。

 

まず始めに、議事録は誰が書くものなのでしょうか?

自分は客なのだから建築士や営業マンが書くのが当然。そう思われている方、多いと思います。

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私は損をしたくない方が書くと思っています。なので両者共に損をしたくなければ両者書くべきだと思っています。一般の家づくりの場合、議事録がなくて損をするのは圧倒的に施主側だと思います。

例えば指示した壁紙が貼られていなかった場合だと、施主はやり直しを請求しますが議事録という証拠がない以上、メーカー側はやり直す必要はありません。そうなるとやり直しの費用は施主もちになります。

逆にメーカー側は施主を言いくるめるだけで、追加の工賃ももらえるし、納期も伸ばせるのです。それどころか、「ここは特別に無料で」と言っておいて、後々の交渉に利用されることにもなり兼ねません。

という訳で、議事録は施主が書いた方が良いことが分かってもらえたかと思います。

 

次に議事録の書き方です。

ここでの議事録は建築士や営業マンに対し、証拠を提示できれば良いので格式ばったものである必要はありません。チラシの裏でも問題ありませんが残しておいてください。

理想は5W1Hを明確に書くことです。

5W1HとはWho(誰が)When(いつ)Where(どこで)What(何を)Why(なぜ)How(どのように)するかです。

例を書きましょう。

ハウスメーカーが 引渡し日までに 施主の家の主寝室で 10番の壁紙を 施主が希望しているので 施工する。」

非常に回りくどいです。家づくりの場合、WhoとWhenとWhyはほとんど決まっていますので、

「主寝室の壁紙は10番にする。」

これだけ書けば良いのです。大したものではありません。

しかし、記憶が抜けたりもするので採用に至った理由は残しておいた方が良いです。

「床のイメージに合わせて主寝室の壁紙は10番にする。」

こう書いておけば床材を変えたときに壁紙も再検討するべきことが分かります。

 

他にも書きたいことはどんどん書くと良いです。議事録は書いたことが正になります。「カラスは白」と書いてあっても相手が承認すれば、両者の間ではカラスは白になるのです。理想は最後に両者サインをするのが良いですが、打合せ中に書き終わるか分からないですし、ちょっと重いなと思うようでしたらメールで送りつけるのが良いです。

「不明点等ありましたら、ご連絡ください。」

とでもメッセージを添えると尚良いです。いい加減な建築士や営業マンだと恐らく見ないでしょう。それでも良いのです。これは何かあった時の保険なのですから。

問題が発生したときに、「言ったよね。議事録にも書いてるし、返事がなかったってことは不明点はなかったってことでしょ?」と言えれば良いのです。

 

しかし、議事録に書けないこともあります。

打合せ後に「やっぱり壁紙は12番にして!」ってやつです。

計画段階なら次の打合せの時で良いですが、工事が始まっていたら急ぎ連絡が必要です。この場合、まず電話してください。そして後でメールしてください。

「今朝電話で伝えました通り、主寝室の壁紙は12番のものでお願いします。」

これで大丈夫です。しっかり電話でも話したという事実を残してください。電話というのは内容が残りません。口約束でも契約は成立するそうですが、残らないものに価値はありません。

 

ここまで読んで皆さんはどう思いましたか?

私を面倒くさい人間だと思いませんでしたか?

そう思ったなら私の狙い通りです。議事録を書く一番の理由は、相手に警戒させることです。イージーな客にはイージーなものしか出してきません。こいつはやっかいだぞと思ってもらった方が良いものが出てきます。ものづくりとはそういうものです。

ただ関係が悪くなっても良いものはできません。クレーマーにならない様に理不尽なことや常識外れなことは辞めてください。

 

営業マンは会社に守られています。建築士も会社や賠償責任保険に守られています。
施主を守れるのは議事録だけです。プロ相手にノーガードで挑んでも勝ち目はありません。しっかり守って理想の家を手に入れましょう。


次回は私の議事録を公開して私のやり方を紹介したいと思います。

 

 

ここまで駄文に付き合って頂きありがとうございました。 

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