前回はガレージと家の一部にすると断熱性と気密性が悪化するという話を書きました。
事の始まりはこちら。
今回は車を入れることを想定して設計されていない部屋に車を駐めたときに問題になることを書きます。
床の強度問題
以前にも少し書いた内容ですね。
通常、住宅の床は㎡当たり180kgfに耐えられる設計です。
しかし、車は重いものだと2,500kgぐらいあって、その荷重をホイールベース2.9m✕トレッド1.7mの面積で受けると、㎡当たり500kgfと約3倍の荷重を受けることになります。
実際は面ではなくタイヤの4点で支持しているので、1箇所当たり630kgfの荷重を局所的に受けることになり、よりしんどいです。
タイヤの正確な位置も予測できないので、かなり余裕をもった設計をする必要があります。
建築士が車を駐めることを想定して床を強化していれば問題ないですが、なにせ車が入れない倉庫なので強化していない可能性があります。
強化されていなければ、床が抜けたり大引の変形、破損に繋がります。
普通のビルトインガレージだと地面の上にコンクリを敷いているので心配は不要です。
対策
具体的には大引や土台の数を増やして密に組むことになると思います。
シャッターの位置が分かっているので、そこからタイヤの位置を想定してタイヤの直下付近に土台を配置する感じにしたいですね。
また、床下の合板も厚くしたいです。
後から補強することも可能だと思うので、車を入れる前にやってほしいです。
車が入ればですけど。
換気の問題
車は排気ガスも出ますし、旧車だと揮発したガソリンも大気解放されます。
倉庫(ガレージ)と住宅部を外部ドアで間仕切りしているので、家の中を通って換気する設計にはなっていないとは思いますが、倉庫内の換気は住宅レベルの可能性があります。
住宅に用いられる24時間換気はシックハウス対策として2時間に1度、部屋中の空気を入れ替えれる程度の換気性能です。
排ガスが2時間部屋の中に滞留するのは体に良くないし、なにより臭いので換気性能を上げた方が良いと思います。
対策
大きめの換気扇を付けるのが良いですが、もったいないので臭いや息苦しさを感じたら窓を開けるのが良いでしょう。
CO2センサーがあっても良いですね。
これから建てる人へ
散々書いてきましたが、普通に家の外扱いでビルトインガレージを作った方が楽だし、家の性能も落ちないし、なにより確実です。
普通のビルトインガレージなら特別変わった仕様でもないので、どこのハウスメーカーでも工務店でも問題なく建てられます。
どうしても家の中に車を置きたい変人は建築士事務所に依頼してください。
変人は仕様に縛られることなく、建築士と自由にやった方が双方ともに幸せになれます。
このYouTuberさんは取り壊しの更地返しでハウスメーカーと合意したそうです。
建て直しでないことから信頼関係が破綻していたことが想像できます。
紆余曲折あった結果、シャッターの向きを変える改築&増築+減額で合意したそうです。
この結論を出すまでに心身ともに大変な苦労があったでしょう。
皆様は失敗のないよう依頼先はしっかりと検討してください。
ここまで読んで頂きありがとうございます。