ゆとり技術者と建築家で建てる都市型住宅

Atrium House

ゆとり技術者と建築家で建てる都市型住宅

防火地域での延床面積削減術

はじめに

我が家の建築予定地は防火地域です。

防火地域にはその他の地域よりも規制が厳しく、建てられる建物が制限されます。

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耐火建築物は仕様上高価格になりがちで、できれば避けたいところです。

どこかは忘れましたが、大手のHMの営業マンに

準耐火建築物は+坪5万円

耐火建築物はさらに+坪10万円

と言われました。


我が家はインナーガレージが希望でしたので、希望する居住スペースを考えると防火地域の規制を免れる延床面積100㎡以下は到底無理でした。

なので高額になるのを覚悟して3階建ての耐火木造でこの1年間設計を進めていました。

しかし、3階建てとなると非常用進入口が必要なため、当初望んでいなかった3階のバルコニーやホールが追加されて希望以上に家が肥大化し、それを支える構造もより強いものになることで、どんどん高額になりました。

注)容積率の算出の際に車庫は延床面積の1/5まで緩和を受けられますが、防火地域の延床面積100㎡以下の内容では緩和を受けられません。

 

 

延床面積低減の裏技

先日、住人十色というTV番組でリビングの屋根を無くした家が紹介されていました。

割と有名みたいでネットでも特集されていました。

このお宅は普通の家を中古で購入したものの、容積率オーバーによる既存不適格物件だったため、リフォーム費用のローンが組めなかったそうです。

なので屋根を無くしてリビングを屋外扱いとすることで、延床面積を減らし容積率をクリアし、雨は開閉式の布(タープ)を取り付けることで凌いでいるという内容でした。

 

 

半屋外ガレージ化

我々もガレージの屋根を開閉式の布製にして、住居スペースを延床面積100㎡以下にすれば、安価な2階建ての準耐火建築物にできるんじゃないかと思いつきました。

まぁ正確にはインナーガレージではないんですが、雨と直射日光が避けられるならOK

 

早速、今の土地にガレージと2階建て100㎡の建物が成立するか描いてみると、何とかなりそうです。

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うまくいけば延床60坪弱の3階建て耐火建築物から延床30坪の2階建て準耐火建築物+10坪弱の屋根無し車庫になるので2000万円ぐらいの減額になるんじゃないと期待しました。

 

建築士さんに相談してみると、布製の屋根の建物が屋外と判断されるかは微妙なところで、指定確認検査機関への確認が必要とのことでした。

しかし、ガレージの場合は自動車車庫の屋根は準耐火構造若しくは不燃材料等で造られている必要があるため厳しいと思うとのことでした。

検査後に勝手に付けてしまえばバレないんでしょうけど、建築士さんの立場上NGとしか言えないようです。

 

また、バルコニーは2m以下の部分は床面積に含まれないものの、バルコニーの1階部分が今回の車庫のように屋内的用途に使われる場合は床面積に含まれるうです。

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引用:建築基準法及び同大阪府条例 質疑応答集


バルコニー分が床面積として参入されると家が狭くなるので絶対NGです。

かといってLDに繋がるバルコニーは優先度が高いので諦めることもできません。

かつてはバルコニーの床に多数の穴を開けて、屋根の機能を殺したグレーチングバルコニーを使って1階部分を車庫にする家がありましたが、今はほとんどの自治体で床面積に含まれるようになっています。

 

インナーガレージ実現への逃げ道

頭を抱えている私に建築士さんから提案がありました。

実は防火地域内に建てられる建物の例外として、延べ面積が50㎡以内平屋建附属建築物で外壁および軒裏が防火構造のもの」は耐火建築物・準耐火建築物としなくても良いというのがあるそうです。

 

つまり

「2階建て100㎡以下の建築物」の住宅

「50㎡以内の平屋建の附属建築物で、外壁及び軒裏が防火構造のもの」の車庫

の2つの建築物に分ければ、大幅な減額ができる可能性があるということです。

 

横並び2台の車庫はせいぜい10坪(33㎡)程度で、もちろん平屋建てなので全く問題ありません。

そしてバルコニーの代わりに、車庫の屋上に住宅の2階からアクセスできるようにすれば、実質バルコニーと同じ機能を持つことになります。

もちろん別の建物の屋上なので幅2m以上あっても床面積には含まれないです。

 

ということで早速2階建て100㎡以下で間取りを描いてみました。

 

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※3階部分は天井高1.4m以下でハシゴによる昇降のロフトのため床面積不算入

 

 

全く問題ないです。

 

というか当初の希望にかなり近いです。

 

 

我々の妥協できない希望は

  • 20畳以上のLDK
  • Ⅱ型アイランドキッチン
  • リビングに吹き抜け
  • LDと繋がる6畳以上のバルコニー
  • 子供部屋2つ
  • 普通車2台が横並びできる車庫
  • 幅広な階段と廊下

 

今回のプランはこれら全てが実現可能です。

おまけに子供が独立したら使わないであろう3階も無くせました。

 

ただ、かなりのオーバーハングですので、重量鉄骨造になるかもしれないです。

オーバーハング部の両端に壁が付けられれば木造でもやれるでしょうかね。

1階の居室は採光が厳しそうですが、この辺りは建築士さんに頑張ってもらいます。

 


建築士さんもやれそうとのことなので、指定確認検査機関への確認をお願いしました。

結果が楽しみです。

 

 

ここまで駄文に付き合って頂きありがとうございました。 

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